« ホームページを一新しました | トップページ | 元号の決め方 »

2019年3月23日 (土)

サバ缶でサバイバル

~さかもっちゃんの知ったかぶりぶり 192~

海外へ旅に出かける時、私は必ずサバの缶詰、いわゆるサバ缶を1つ持っていきます。まぁ、ここまではよくある話。誰しも海外の旅先で、日本の味は恋しくなりますからね。

さて、ここからが(おそらく)私だけに特別の話。なぜなら、海外の旅先で、私はこのサバ缶を決して食べません。食べないまま、日本へ持ち帰ります。このサバ缶は、私にとって言わば「旅のお守り」のようなもの。

サバ缶を旅のお守りにするようになったのは、40年以上も前に読んだ「一切れのパン」という作品の影響から。確か、中学校の国語の教科書に載っていた短編小説です。作品自体はネット検索ですぐ出てきますので、詳細をお知りになりたい方はそちらを御覧いただくとして、私の記憶している限りで作品の概要を以下に書いてみます。

第二次大戦中、主人公の男が捕虜収容所に送られる貨車から逃げ出します。逃げ出す際、同乗のラビ(ユダヤ教の司祭)に、「(ユダヤ人である)あなたは一緒に逃げないで、このままルーマニア人として捕虜のままの方が生き残れます」と、貨車に残ることを勧めます。貨車に残ることにしたラビは別れ際に、お礼としてハンカチに包んだ「一切れのパン」を差し出しました。

その時のラビの言葉は、今でも私の心の奥に深く刻まれています。少し長くなりますが、ここは原文のまま引用させて下さい。(以下、「一切れのパン」 F・ムンテヤーヌ著 / 直野 敦訳から引用)

「あなたに一つだけ忠告しておきましょう。そのパンは直ぐに食べず、できるだけ長く保存するようになさい。パン一切れ持っていると思うと、ずっと我慢強くなるもんです。まだこの先、あなたはどこで食べ物にありつけるか分らないんだから。そして、ハンカチに包んだまま持っていなさい。その方が食べようという誘惑に駆られなくてすむ。私も今まで、そうやって持って来たのです」

逃げる途中、主人公は体力の限界と空腹による飢えから何度もそのパンを食べようとしますが、その度、ラビの忠告を思い出し我慢し続けました。そして、遂に、安全な我が家まで逃げてから包みを開けてみると、中から出てきたのはパンではなく、「一片の木切れ」でした。

「一切れのパン」のような希望があると人間は強くなれるんだ、と、中学生だった私は強く思いました。それから幾星霜。そう、冒頭のサバ缶は、私にとって、まさにこの「一切れのパン」なのです。

海外には、日本のようなコンビニがあちこちにあるわけではありません。そのため、時には空腹のまま一晩を過ごさざるを得ない日もあります。そんな時はサバ缶の出番。サバ缶のような希望があると人間は強くなれます。

サバ缶でサバイバル!

|

« ホームページを一新しました | トップページ | 元号の決め方 »

カラフルエッセイ  さかもっちゃんの知ったかぶりぶり」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ホームページを一新しました | トップページ | 元号の決め方 »