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2018年7月25日 (水)

ネアンデルタール人の遺伝子

~ おさむの鳥の目 220

「人類の起源でいつも気になるのは、ネアンデルタール人、ジャワ原人、北京原人など旧人類の運命です。心情的には現生人類ホモサピエンスと混血したと信じたいのです。しかしこれまでの解説は混血否定論ばかりでした。可哀想です。」

以上は学生時代の友人が以前に書いた文章です。彼は、「人類の誕生」などの問題の研究に詳しく、客観的な知識も豊富な人なのですが、人情家でもありますので、特別の思い入れがあったのだと思います。

私も、ネイティブアメリカンに伝わる口承を書籍にした「一万年の旅路」という本を読むなど、古い時代の人類について、情報を集めていましたので、彼の考えには強い関心を持っていました。そして、「一万年の旅路」の中に出てくる昔話、人類がアフリカを出てユーラシア大陸を東へ進む話の中に出てくる旧人類との混血の可能性を示す話を紹介したこともありました。

しかし、それらは十分に説得力のあるものではなく、実際にはどうなのか判断することの出来るものではありませんでした。

ところが、今年の5月に放映されたNHKスペシャル「人類誕生」2、「ネアンデルタール人謎の絶滅人類」の中に、「5万5000年前にヨーロッパに住んでいた、ネアンデルタール人とアフリカに住んでいた現生人(ホモ・サピエンス)が中東のエルサレム付近で出会った。共存期間は1万年余りとみられる。」という文章を見つけました。

これは興味深い情報だと思って見ていきますと、われわれの疑問を明らかにする貴重なものでした。古い時代の人類についての研究は、思いのほか進んでいて、現代人が持っているネアンデルタール人由来の遺伝子は、2.3パーセントから2.4パーセントといわれています。確かに伝わっていたのです。

そして、この値はアフリカを除く全人類に関するもので、人類がアフリカを出て、早い段階でネアンタール人と接触し、その後に全世界に進出した事実と合致します。最古の人類がアフリカを北上し、アフリカを出てから全世界に拡がったとが知られていますが、アフリカ大陸に住み続けている人は、当然のことながら、ネアンデルタール人由来の遺伝子を持っていないのです。

現代人とネアンデルタール人との接触は、番組では、ネアンデルタール人の少女が山の中で仲間とはぐれて1人になっているのを現代人のグループが見つけて保護し、仲間に入れたのが始まりと想定していて、全く偶然のこととされています。

そしてその後、その少女が成人し、子供を産んだと考えているのですが、自然なことと思われます。そういう機会はごくごく稀なことでしょうが、あっても不思議ではありません。

このように、ネアンデルタール人と現代人は同じ時期に、ごく近い地域に生存していたのですが、一方は絶滅し、他方は存続して、今日の大繁栄を謳歌しているのです。両者を分ける要因は何であったのか。

語られているのは、両者のグループの大きさです。ホモサピエンスは宗教も含めて、繋がりのある人々の集団が大きいのに対し、ネアンデルタール人の場合は、多くても数十人と小さく、新しい知識や工夫が伝わり難かった。

これが進歩発展の速度を遅くする要因となって、ホモサピエンスに及ばなかったというのです。研究の結果、ネアンデルタール人の最後の居住跡というものが残っているのですが、大きいものではありません。

「絶滅最後の一人というのは誠に寂しいものだっただろう」という言葉もあるのですが、私が考えるには、「私がわれわれ同胞の最後の一人」という認識はなかっただろうから、そうは思わなかっただろうと考えています。

それにしても、「アンデルタール人由来の遺伝子は、2.3パーセントから2.4パーセントと率は低いが、われわれ現世人類に間違いなく伝わっている」と言えることがわかりました。上記友人は、もう亡くなっていて、これを伝えることは出来ないのですが、とりあえずここまで分かりましたということは出来ると思っています。

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コメント

初めまして、私は「池さんの歴史ナルホド」の池田です。私も歴史好きでして、このNHKスペシャルも1~3まで見ました。最新研究の結果のとても興味深い事実がたくさんしょうかいされていましたね。「おさむの鳥の目」登場の第2回もご指摘のように、特に絶滅したネアンデルタール人の遺伝子が現代人に残っているという興味深い事実とその原因について言及しており、私もとても驚き、感慨深かったのを覚えています。同様の思いを持った方がいてくれたことをとてもうれしく思い、コメントしました。

投稿: 池田義光 | 2018年7月26日 (木) 14時27分

現代人(ホモサピエンス)とネアンデルタール人とは、見た目的にどの程度違いがあったのでしょう。気になりますね。黒人と白人くらいなのか。それとも人間とチンパンジーほどのものなのか。

成人したネアンデルタール人の女の子に子供を産ませることにどれだけ抵抗感があったのか、ちょっと考えてしまいました。

しかし結果的にパーセントは低いものの現代まで遺伝子が引き継がれている。人類の、というより生物としての歴史の重みを感じます。

投稿: soji | 2018年8月18日 (土) 22時28分

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